町の診療所
先日、平成24年に設計施工に携わった「町の診療所」がとよおか景観大賞2014を受賞しました。
とよおか景観大賞とは、豊岡らしい景観となるよう主体的に積極的に取り組みをし
豊岡市の景観意識の高揚に大きく貢献した個人、団体等を表彰するものです。
昭和初期に建てられた但馬の近代化遺産、新しく開院されるお話を聞いてこの建物を推薦し、着工したのが平成24年2月のことでした。なおす上で心掛けたことは町の景観を守るために、外観のデザインを壊さないようにすることです。内観は、今ある部屋を最大限に利用し、応接室は相談室、金庫は処置室、宿直室は職員休憩所にしました。受賞の知らせを受け、この建物に皆さんが関心を持っていただき評価されたことに喜びを感じます。何よりも、先生に喜んで使っていただいていることが一番嬉しく思います。
推薦理由
旧但馬貯蓄銀行は、明治28年に株式会社豊岡貯蓄銀行として創立された。明治45年に新榮(しんえい)銀行と合併して同行の貯金部となったが、大正11年1月に独立し、株式会社但馬貯蓄銀行と名称を改め開業した。
大正14年5月23日に起きた北但大震災によって建物は倒壊し、昭和初期に再建されたのが現在の建物である。建物は土蔵造り2階建てで、和洋折衷の造りとなっている。漆喰壁(しっくいかべ)で、御影石貼り、北側に袖うだつを立て、正面出入り口に古代ギリシャの建築様式のひとつイオニア様式の付柱、内部の梁(はり)や壁面などに洋風の浮彫(うきぼり)を配している。建築当時、1階ロビーは吹き抜けだったようであるが、二階の床を張る改修が行われている。
当該建築は漆喰塗(しっくいぬり)の土蔵造りとし、軒に銅板を回し、うだつを設けるなど、耐火の工夫を施した震災復興建築となっており、元町通りの景観を形成する重要な建物のひとつである。
建物は大きな改修を加えず現在まで大切に保存されており、現在の1階管理者である高石医師は、この建物の価値を大きく評価し、ここで医院を開院された。また、2階管理者である与田氏は建物の雰囲気を活かして、アートギャラリー「豊岡画廊」として貸し出しされている。
このように、昭和初期に建てられた復興建築を大切に保存し、建物の持つ風情を活かした利活用の方法を考えていることなどから、とよおか景観大賞を贈る。
(昭和の豊岡を歩く~とよおか景観フォーラム2014~、パンフレットより)
~施工時の様子~