《コラム》27 「森林公園まつり」
私が住んでいる豊岡市目坂地区には、市から維持管理を委託されている森林公園がある。同公園は集落から約3㎞奥に入った山の中にある。ここが公園に整備されるまでは、田んぼと畑があったところで、村の農家が耕作をしていた。その頃は車が通れるような道路はなく、収穫した米や野菜は全て背負って家まで運んでいた。人がやっとすれ違えるほどの幅しかない急な坂道を、数10㎏の荷物を背負って歩くという過酷な暮らしを当たり前のようにしてきたのである。やがて後継者もいなくなり、耕作されなくなった。その後、豊岡市が森林公園として整備する事になり、現在のキャンプ場が出来上がった。
公園の宣伝と地区の活性化を目的に、毎年5月の最終日曜日に森林公園まつりを行っている。当日は、餅つき、手打ちそば、農産物の販売、野草の天ぷらなど多彩で、毎年楽しみにして来られるお客様も沢山いらっしゃる。今年は約700名の来場者があり、公園内の空きスペースは全て車で埋まってしまった。
このまつりの主催は目坂地区であり、段取りから片づけまで全て地区が主体的に取り組まなければならない。その目坂の戸数はたったの22戸しかない。当日は中学生から高齢者まで動ける住民は全てまつりに携わる。その準備は3月から始まっていて、担当者の配置表を作成し、責任者を決めていく。必要な資材の段取りや役割の確認、来賓への招待状の発送、市役所から借りるテントの運搬の段取りや車の手配、新聞折り込みチラシの作成と印刷などに加え、雨天であることを予測し、会場を屋内のふれあい館に移せるよう準備しておかなければならない。「段取り八分」という言葉があるが、まさに労力の80%は準備に費やされる感じがする。
まつりを始めて21回を重ねるが、一度も事故なく盛大に行ってきている。
たったこれだけの村でよくやれるものだと改めて感心した森林公園まつりであった。