《コラム》29 「どんど焼き」

投稿日:2017.01.13

 新年を迎え、心新たに今年の平穏なくらしを神様に祈った方も多くいたことでしょう。その神様を迎える為に、年末には門松やしめ縄を飾って正月の設えを行っている。松の内が終わるとその飾り付けた物を処分しなければならない。その行事がどんど焼きである。歳神様をお迎えするための飾り付けなどを、神社の境内に長い竹や木、藁、茅、杉の葉などを掛け積み、火を燃やします。その時立ち上る煙に乗って歳神様は天に戻っていくとされているのです。

 その日にちは地域によっていろいろであるが、私の地区では七日に近い土曜日としている。当日は係の者が各家から藁を集めて神社の境内に運び、近くの山から木や竹を切り出し寄せ集めて大きなクリスマスツリーのように組掛けます。高さは七メートルくらいになり、それに稲藁の束を放り投げて木の枝に引っ掛けていきます。こうすると燃えやすくなるのです。午後四時に点火することになっており、その時間になると村の人たちが集まってきて、手にはしめ縄や鏡餅、子供達は書き初めを持って来ます。時間が来ると火がつけられ一気に燃え上がり、その燃え火で炙った餅を食べると一年間健康でいられるとされています。書き初めは長い竹の先につけて炎の上にかざすと、上昇気流に乗って天高く上っていき、高く上がるほど字が上達すると言われています。また、一年に頂いた祝儀の袋や不祝儀の包みなど、ゴミ箱には捨てられない物もこの火のなかで燃やすことも出来ます。現在ではほとんど見られなくなってしまったが、くどを使って調理をしている家庭では、残り火を持ち帰ってくどに入れると火事がおきないとのいわれもあります。どんど焼きの火にあたるとその一年間健康でいられるなどの言い伝えもあり、無病息災・五穀豊穣を祈る火祭りである。

 お宮さんの境内で行われる神事ではあるが、現代ではその宗教的意味合いは少なく地域の行事となっている。

 今日では野焼きをすると環境問題を唱える人がいたり、都会では地区の行事に参加する人もない状況であるが、田舎の神社の境内だからこそできることであり、一年の初めの行事に地域の人たちが顔を合わせ、連綿として受け継がれてきた伝統を次の世代に引き継いでいくことに村のくらしの大きな意味があると思う。

640x640目坂どんど

ブログ検索

アーカイブ